宮杯覇者・新田祐が主役
高松宮記念杯直後の開催、さらに前期最終戦と言うことも重なってか、最初のあっせんから15名が入れ替わる非常事態。しかも、欠場者には平原康多、神山雄一郎の関東SS班の2人に、金子貴志らビッグネームが含まれる。しかし、それでも豪華な顔ぶれが集結。新田祐大が気力、体力を振り絞り、強い責任感でV争いをリードする。新田は、2月に当地で開催された全日本選抜を皮切りに、3月の名古屋、4月静岡の両ダービー、名古屋高松宮記念杯と今年前半のG1はすべて決勝に乗り、高松宮記念杯では文句なしの強さで昨年9月松戸オールスター以来のG1制覇を達成。爆発的なスピードに、どんな展開にも対応できる上手さが備わったことで、これまで以上に安定したパフォーマンスを発揮できるようになった。今シリーズも隙のない走りで同型のライバルをねじ伏せよう。新田にとって心強いのは成田和也の存在だ。度重なる落車に苦しんでいるが、そのたびに強い精神力で乗り越えている。5月平は連勝で勝ち上がり。差し脚は相変わらず切れている。昨年10月の向日町G3以来となるグレードレース参戦でファンに健在ぶりをアピールする。
村上義弘も有力なV候補だ。今年も3月名古屋ダービーを制し、頂点を極めた。その後も4月高知記念で優勝、高松宮記念杯では決勝進出と一戦入魂のレーススタイルでファンの期待に応え続けている。その高松宮記念杯直後の一戦で肉体的、精神的疲労は残っていようが、魂の走りを久留米のファンの前で披露してくれよう。その村上の思いに、強烈ダッシュを生かしたタテ攻撃が武器の古性優作が呼応する。高松宮記念杯では組み立ての甘さが出た事を反省。ここですぐ修正を果たせるか。藤木裕は4月川崎記念で決勝3着と好走。成績の波は激しいが、徐々に復調しているのは間違いない。
平原、神山は不在となっても、新鋭の吉田拓矢、木暮安由、後閑信一なら、関東勢からも目が離せない。吉田は年頭のS級初優勝から今年はすでにF1戦で5V。宇都宮記念、G1戦デビュー高松宮記念杯では決勝進出を逃したが、一戦ごとに進化を遂げている。初参戦の当地でも迷いなく攻めてラインをけん引する。木暮も相変らずグレード戦では思うような結果が残せていないが、6月西武園で今年4V目とデキの良さは疑いようがない。俊敏なレース判断と持ち前のタテ脚は一級品だが、吉田の番手があるようなら、約3年ぶりの記念Vも視界に入る。後閑信一は3月西武園の落車で鎖骨、肋骨、胸骨骨折の重傷を負ったが、4月高知記念で復帰してからは順調に回復している。過去に連覇の実績もある久留米記念で輝きを取り戻す。
迎え撃つ九州勢はSS班の園田匠に地元の吉本卓仁と野田源一、さらに井上昌己ら精鋭ぞろい。そこに、松岡貴久、菅原晃まで追加で入ってさらに厚みを増した。園田は宇都宮記念でSS班となってからは初の優勝。後半戦へさらにエンジンを上げていく。吉本は1月の平記念で準優勝、2月静岡記念では決勝3着と好走。自慢のスピードに一段と磨きがかかった。地元で悲願の記念初制覇へ期待は高まるばかりだ。野田は精彩を欠いているが、高松宮記念杯、そして地元記念を目標に、きっちり仕上げてくるはずだ。井上は高松宮記念杯で3勝をマーク。腰痛の影響もなくなり、後半戦の巻き返しへ態勢が整った。松岡も高松宮記念杯は着で準決勝に進出。二次予選で、吉田―神山―後閑の関東勢や和田真らを切って捨てたまくりがここも炸裂か。