火花散る主導権争い
各地区から強豪が集結していて、見ごたえのあるシリーズ。ラインの総合力は近畿勢が一番で、大将格の村上義弘が優勝に最も近いとみた。今年の村上は3月名古屋ダービーを優勝し、早々とグランプリ出場権を獲得したものの、その後はなかなか調子が上がらず、勝ち星から見離された時期もあった。しかしながら、10月親王牌は決勝3着、9月向日町記念、11月防府記念はともに準Vなど、成績は高いレベルでまとめているし、最近は動きにも良化の兆しがうかがえる。勝ってグランプリに弾みを付けるか。リオ五輪から復帰後の脇本雄太は、優勝こそ8月豊橋記念でのエボリューションだけだが、親王牌で決勝に進出すると、他の自力型を完全に沈黙させる先行で稲垣裕のG1初Vに貢献している。世界レベルのスピードを披露してのV奪取は十分だろう。名古屋ダービーの優参から一段と飛躍を遂げた三谷竜生も好勝負が見込める。8月オールスター、9月共同杯は準決に駒を進めたし、親王牌は二次予選で4着惜敗も3連対。ビッグレースで存在感を示すタテ攻撃は本物だ。追加参戦の稲川翔に、古性優作、南修二は地元の意地を見せたい。
原田研太朗、小倉竜二の徳島両者がそろって追加参戦。原田は充実一途の近況。競輪祭は不発となった準決勝以外、シリーズ3勝を挙げた。自慢のパワーで本線撃破をもくろむ。小倉は差し脚好調。連係実績豊富な原田と連係して勝機を見出す。
関東勢はグランプリ出場を決めた武田豊樹が欠場。戦力ダウンは免れないが、それでも吉澤純平、諸橋愛の実力者がⅤ候補に名を連ねる。吉澤は8月豊橋で記念初優勝。その後も破壊力抜群の攻めを見せている。諸橋は差し脚の切れが天下一品だ。
山崎芳仁、佐藤友和の北日本も侮れない。ここのところビッグレースではやや影が薄い感じもする山崎だが、G3なら話は別。向日町、10月京王閣、11月武雄と3場所続けて決勝に乗っている。主導権争いが激化なら、山崎らしい豪快な一撃が決まる場面も。
九州勢は先行型が手薄な不利はあるものの、園田匠、山田英明、坂本亮馬ら個性派がそろった。なかでも園田はホームバンクの競輪祭に向けて調子を上げてきただけに、踏むコースさえあれば突っ込んできそう。山田のゲリラ戦にも注意したい。
南関勢は和田真久留、海老根恵太が注目株。和田は成績の波が激しいが、トップスピードの切れは引けを取らない。他地区と比較すると劣勢だが、台風の目と化す可能性も。