戦力充実の近畿勢
豪華メンバーの激突だが、V争いの中心は近畿勢か。S班の三谷竜生に好調な村上博幸、椎木尾拓哉と充実の戦力を誇る。三谷は昨年5月京王閣の日本選手権でG1初制覇。その後は度重なる落車に苦しんだが、今年2月の高松記念から気配が一変している。2日目の優秀戦から3連勝で記念初優勝。同月四日市の全日本選抜は二次予選で敗退したものの、敗者戦で2連対と存在感を示した。本来の姿を完全に取り戻しており、ここはパワフルな攻めで同型のライバルたちをねじ伏せる。村上は昨年11月大垣、12月広島と記念を連覇。2月全日本選抜は決勝3着で表彰台に上がっている。椎木尾も全日本選抜で2度目のG1優出。近畿を代表する追い込み型の一人に成長した。3人がしっかり勝ち上がれば、ラインの総合力は一番だろう。
武田豊樹、諸橋愛のS班2名を擁する関東勢も強力だ。武田は昨年末の平塚グランプリで2着。骨盤骨折の大ケガからようやく立ち直った。かみ合えば結果を出せる状態だ。諸橋は平塚グランプリで落車失格。2月全日本選抜も準決勝で落車したが、大きなダメージはなかった。そろそろ結果がほしい。2人にとって心強いのは吉田拓矢の存在だ。昨年の終盤から成績が安定しないが、積極的なレーススタイルは崩していない。2月静岡記念で5カ月ぶりの優出を果たすなど調子も上向いてきた。
地元勢は岩津裕介を主軸に総力を結集する。近況、目立った活躍こそない岩津だが、レースさばきと決め脚はしっかりしている。取鳥雄吾、山本直ら頼れる後輩に前を任せて優位にレースを進める。さらに中四国で太田竜馬と連係できる可能性も高い。4年ぶり4度目の地元記念制覇へ初日から全力投球だ。太田は今年に入ってパッとしない。周囲の警戒がより厳しくなっているが、この現状を打破しなければ頂点は見えてこない。
柴崎淳、志智俊夫の中部コンビも侮れない。柴崎は自力の脚が冴えている。地元の全日本選抜に出場できなかった悔しさをここにぶつける。志智は今年に入って決勝を1度も外していない。2月平では今年初優勝を飾るなど乗れている。
山中秀将、近藤隆司の千葉勢もV候補の一角を占める。山中は昨年11月の小倉競輪祭でG1初優出。スピードの切れは輪界トップレベルだ。2月全日本選抜は決勝進出を逃したとはいえ、準決勝以外のレースはすべて確定板に上がっている。近藤は成績の波が激しいが、2月小田原は圧巻のまくりで完全優勝を達成。仕掛けがはまった時の破壊力はケタ違いだ。
九州勢は井上昌己、坂本亮馬、園田匠と実力派ぞろいだ。井上は腰痛で状態はひと息だが、随所に力強いレースを見せている。坂本は2月全日本選抜で3度の確定板入り。レース巧者ぶりを発揮している。