群雄割拠で熾烈なV争い
今年も前半戦が終了。ビッグレースはG1が3開催、G2は1開催が行われたが、2Vゲットした選手はいない。群雄割拠の様相を呈しているが、総合力ならダービー王の松浦悠士が一番だろう。トップスピード、仕掛けどころを逃がさないレース勘、外併走を苦にしない走行技術など、色々な面で高いレベルを誇っている。前半戦はダービーに加えG3で5Vを達成していて、毎月Gレースで優勝しているペースだ。連の軸として最も信頼が置ける。盟友の清水裕友もSS班らしい力強い走りを披露している。ウィナーズカップで優勝、G1開催はすべて決勝に乗っている。6月久留米記念は一息入ったのか、本来のスピードではなかったが、昨年に続いての大会連覇に向けて仕上げてくるはずで、評価を下げる必要はない。松浦との前後は流動的なので注目しておきたい。
ダービーの決勝で松浦とデッドヒートを演じた郡司浩平を中心視する手もある。全日本選抜のVで真っ先にグランプリの出場権を手中にしているし、前半戦の連対率は67・5%と安定した成績を残している。自力攻撃の破壊力はさることながら番手戦もそつなくこなすので、深谷知広、岩本俊介、松井宏佑ら豊富な南関自力型との連係から勝機を見い出す場面もありそうだ。
第64回オールスター競輪ファン投票で第1位で選出された平原康多は体調が気がかりだ。全プロ記念の走りは精彩を欠いていたし、高松宮記念杯、6月久留米記念を続けて欠場している。調整能力の高さには定評があるが、初日の動きには注目しておきたい。仕上がりに問題がないようなら、前半戦はG3で3V、全日本選抜、ダービーで優参した底力を発揮してのVゲットは十分だろう。関東勢では吉田拓矢が乗れている。高松宮記念杯では着と気を吐くと、6月久留米記念着は昨年12月の佐世保記念に続きG3開催2V目を達成。勢いがあるので怖い。
地元地区の北日本勢は佐藤慎太郎、守澤太志と2名のSS班を擁する。今年の佐藤はまだ優勝こそないものの、ダービーの決勝では松浦、郡司と大接戦の3着、高松宮記念杯は準決1着で決勝進出。差し脚の切れ味は申し分ない。守澤も伸びは抜群。6月別府記念で今年の初Vを飾ると、高松宮記念杯は着。手厚い援護で目標選手を盛り立てる。自力型ではスピード自慢の渡邉一成、高橋晋也、好調な小松崎大地がけん引役となる。
近畿勢は稲川翔、古性優作、野原雅也らが優勝争いを賑わす。中でも稲川と古性はビッグレースで存在感を示していて、チャンスが巡ってくればものにしても不思議ではない。
九州勢も山崎賢人、北津留翼など自力型はそろっている。山崎は高松宮記念杯着、準決で逃げて2着に粘ると、決勝は単騎ながら最終1センターからまくって見せ場を作った。