輪界を代表する自力型の競演
この大会は若手選手の登竜門として位置づけられている。出場選手の選考基準に103期以降の各期卒業の選手のうち、平均競走得点上位者から順次25名があり、他のビッグレースより若手の自力型が多いのが特徴だ。
優勝候補の筆頭はもちろん脇本雄太だ。競技中心のスケジュールで昨年は25走しかしていないが、高松宮記念杯、寬仁親王牌で優勝、グランプリ、オールスターは準Vの好成績を残し、最優秀選手賞に輝いた。先日のオールスターは東京五輪から中0日という強行日程ながら準V。決勝は後続の古性優作に差されたものの、迷うことなくジャン前から主導権を握る脇本らしい横綱相撲だった。今シリーズはオールスター以上のパフォーマンスを発揮できる体調での参戦が予想されるだけに、圧倒的な機動力で別線を沈黙させよう。オールスターで初タイトルをゲットした古性。7月福井記念では郡司浩平、山口拳矢ら相手にまくって優勝していて、持ち味である攻撃的な自在戦に迫力を増している。オールスターの再現があってもおかしくない。
新田祐大、佐藤慎太郎、守澤太志と3名のSS班を擁する北日本勢を重視する手もある。新田はオールスター決勝で脇本の後塵を浴びただけにリベンジに燃えているはず。オールスター、8月松戸記念の連がらみはすべて逃げてのもので、積極的な仕掛けが目立つ。援護は充実しているので、脇本の出鼻を叩いて先制できれば北日本勢から優勝者が出る場面もありうる。
松浦悠士、清水裕友の中国ゴールデンコンビも好勝負が見込める。今年の松浦は素晴らしい成績で、ダービー、サマーナイトで優勝、8月松戸では逃げ切りで記念6V目を達成している。清水は成績にバラツキがあるものの、オールスターのドリームレースでは松浦を目標に勝っている。前後は流動的なので両者の動向には注目しておきたい。
関東勢も平原康多、宿口陽一、吉田拓矢、諸橋愛ら戦力は整っている。軸になる平原は体調が気がかり。競走のみならず練習中の落車もあったが、オールスターでは決勝に乗るなど戦える状態に立て直していた。だが、8月小田原記念で再び落車。体調が浮沈の鍵となりそうだ。高松宮記念杯を制覇した宿口は、オールスターも着と4勝を挙げた。チャンスが巡れば好勝負に持ち込める脚勢だ。
オールスター、8月小田原記念を病欠した郡司も体調には一抹の不安が残る。全日本選抜で優勝、ダービー準Vなど、今年の連対率は66%と高く、実力に疑う余地はない。調整が順調に進んでいれば変幻自在な立ち回りから勝ち負けに持ち込める。
地元勢では新鋭の山口に期待がかかる。サマーナイトで準V、高松宮記念杯、オールスターでは準決進出とビッグレースでも存在感を示している。地元で主役を演じても不思議ではない。