GP最後の椅子をかけた戦い
今年のG1戦線で、最も存在感を示しているのは、古性優作であることに異論を唱える者はあるまい。昨年に続き全日本選抜、高松宮記念杯を連覇すると、寬仁親王牌は4連勝で大会初Vを達成した。今年の獲得賞金はすでに2億円を突破しており、第2位の山口拳に8千万円以上の差をつけてトップを快走中。勝率が昨年の25%から50・7%に跳ね上がっているのも、今年の充実ぶりを物語っている。優勝に最も近い存在とみて中心視した。今シリーズで最も注目を集めるのは脇本雄太だろう。オールスターで落車し、3カ月近くの欠場を余儀なくされたが、復帰戦だった11月四日市記念は衝撃を与える内容だった。二次予選は最終ホームあたりから始動して上がりタイム11秒0で圧勝。前のレースで怒涛のまくりを決めた新田祐大の上がりタイムが11秒2だったのだからすごさがわかる。マークして3着だった浅井康太が「オートレース場を走ってるのかと思った」と舌を巻くほどだった。更に上積みも見込めるだけに、主役を演じる可能性は大いにありそうだ。
中四国勢も松浦悠士、清水裕友、犬伏湧也、太田海也など戦力は整っている。オールスターの落車で1カ月半欠場し、復帰後は一息不足の感があった松浦だが、3場所目の11月防府記念in玉野の動きは復調を感じさせた。この大会は19年にG1初Vを飾っていてゲンもいい。防府記念in玉野では6連覇を達成し、自己の記録を伸ばした清水も状態はいい。今年の獲得賞金ランキングは第6位で、SS班復帰をほぼ決めている。チャンスが巡ってくればものにできる脚勢だ。松浦、清水にとって犬伏、太田の存在は心強い。今年の犬伏はダービー、オールスター、寬仁親王牌で決勝に乗るなど、一段と飛躍を遂げた印象だし、自転車競技で大活躍を演じている太田は、オールスター着、寬仁親王牌は一次予選で逃げ切り。本業でもG1で先行力を猛アピールしている。中四国勢が優勝をさらっても不思議ではない。
SS班4名を擁する北日本勢も互角の戦い。グランドスラマー・新田、昨年の覇者である新山響平、追い込み型も佐藤慎太郎、守澤太志とそろっている。今年の世界選手権のケイリンで、銅メダルを獲得した中野慎詞もいるだけに、ラインの総合力はかなりのもの。昨年のように北日本連係を奏功させて、優勝者を輩出する場面もありそうだ。
九州勢では嘉永泰斗、山田庸平らに上位進出の期待がかかる。今年の嘉永はウィナーズカップ、共同通信社杯で決勝進出、5月函館記念でVなど、自力攻撃に迫力を増した印象だ。山田は高松宮記念杯で優参を果たすと、オールスターでも❺着。初タイトルも視野に入る成績を残している。
獲得賞金ランキング第12位の郡司浩平は、5年連続のグランプリ出場に向けて勝負駆け。南関勢は深谷知広、松井宏佑、北井佑季らスピードスターがそろっているので、台風の目と化すこともあるか。