古性優が軸になる近畿勢
23年は一段と飛躍を遂げた古性優作が人気を集める。全日本選抜、高松宮記念杯、寬仁親王牌とG1タイトルを1年間に3つも手中に収めたのは、97年の神山雄一郎以来となる偉業だし、勝ち星も22年の17勝から33勝に跳ね上がっている。オールラウンダーとしての精度を更に高めた印象だ。機敏な立ち回りから好位置をキープして繰り出すまくりは素晴らしい切れ味だし、番手戦は援護が手厚く、目標にした選手の能力を最大限に引き出している。寺崎浩平に前を任せても、自分で戦っても、優勝に最も近い存在であることに変わりはない。その寺崎はナショナルチームを卒業し、本業の競輪に専念している。走る本数が増えれば、レースの組み立てにも進境が見られるはず。寬仁親王牌、競輪祭はいずれも準決を乗り切れなかったものの、予選で披露していたスピードは素晴らしかった。自慢の快速で近畿ラインをけん引する。東口善朋は68周年大会の覇者。23年の後期はF1戦ながら4Vを飾っていて、まくり兼備の差し脚が冴えていた。近畿ラインがレースを掌握なら連に浮上してこよう。
新山響平、佐藤慎太郎の北日本SS班コンビが近畿勢の前に立ちはだかる。23年は優勝には手が届かなかった新山だが、ビッグレースで4回優参していて、共同通信社杯では準V。スケールの大きな競走で先行力を猛アピールしており、競走内容は高く評価できる。佐藤も23年は優勝こそなかったものの、高松宮記念杯、寬仁親王牌はいずれも準V、ダービーでは決勝3着など、高いレベルで成績をまとめた。Gレースだけを走って3連対率約7割は素晴らしい数字だ。新山が好機に仕掛けて主導権を握っての北日本ワンツーは大いにあろう。
もう一人のSS班・山口拳矢は、ダービーでタイトルホルダーの仲間入りを果たし、初めて赤いレーサーパンツの着用となった。だが、オールスターのシャイニングスター賞で落車した後は、なかなか波に乗り切れずにいる感がある。きっかけさえつかめれば、勝ち負けに持ち込んでも不思議ではないがどうか。
徹底先行で鳴らす町田太我の単にも魅力を感じる。9月豊橋記念では、新山らを相手に逃げ切りVを飾った。12月広島記念in玉野の準決は、先行して新田祐らを完封していて、最近の調子も申し分ない。岩津裕介、桑原大志らベテランマーカーが後ろを固めるのも心強い。タイミングよく仕掛けて先頭に立てれば押し切る場面も考えられる。
和田真久留、和田健太郎の南関コンビも侮れない。和田真は広島記念in玉野の準決で落車しており、体調には一抹の不安が残るが、和田健は11月四日市記念で準V、12月伊東記念はVをゲットと差し脚が冴え渡っている。
底力はある山田英明だが、12月松阪はスピードの乗りが今ひとつだったのが気がかり。