快速脇本雄が別線を圧倒
トップスピード、加速力、持久力と3拍子そろった脚力を誇る脇本雄太だが、持病の腰痛と付き合いながらの戦いを余儀なくされている。本調子での参戦は難しいため、今年の優勝はウィナーズカップだけにとどまっていて、前期の勝率は46・8%。勝ち星を量産していた頃に比べると、低い数字ではあるが、格の高い競走だけを走っての数字だけに、やはり底力はかなりのレベル。高松宮記念杯では西一次予選2、白虎賞、西準決を3連勝、6月取手記念の準決では、8番手からあっという間に前団を飲み込み、上がりタイムはバンクレコードタイの10秒7を叩き出した。白虎賞で目標にした寺崎浩平との連係が叶うようなら、優勢は更に拡大する。この大会6V目を達成し、地元ファンの期待に応える。寺崎は6月豊橋❸着。F1戦で未勝利に終るなど、まだ安定感に欠ける面はあるものの、スピードはワールドクラス。脇本に前を任されれば強気に攻める。追い込み型には稲川翔、東口善朋が控えており、近畿勢はラインの総合力でも他地区をリードしている。
今年はまだビッグレースでは決勝に乗れていない眞杉匠ながら、4月西武園記念で優勝、高松宮記念杯では東一次予選を着で青龍賞にコマを進めていて、随所で破壊力抜群の自力攻撃を披露している。6月取手記念着の動きも力強く、打倒近畿勢の一番手だ。同県の神山拓弥、攻め口多彩な山岸佳太が眞杉を盛り立てる。神山は直近4カ月の3連対率はジャスト5割。差し脚、位置取りは相変わらずしっかりしているし、山岸は直近5場所はF1戦ながらすべて優参し、2V、決勝3着2回と動きがいい。
今年はなかなか波に乗り切れない感がある新山響平。前期は8勝にとどまり、決勝で確定板入りが無かったのは、不本意な成績だろう。だが、高松宮記念杯では、東一次予選で好タイムの逃げ切りを連発して青龍賞に進出。更に準決もクリアして決勝に乗っているし、6月久留米記念❻着の走りも悪くなかった。調子は上向いているので、近畿勢を苦境に陥れる激走を演じても不思議ではない。竹内智彦が新山に続き北日本ワンツーを目指す。ダービー、高松宮記念杯ではそれぞれ1勝をあげていて、47歳のベテランながら差し脚好調だ。
山田庸平、園田匠、松岡貴久とそろった九州勢も忘れてはならない。3月に松阪、武雄G3を連覇した後は、一息不足の成績が続いている山田だが、随所で自力を出していて、戦える状態にはある。主導権争いが激化し、展開がもつれるようだと怖い存在となろう。6月久留米記念1着の伸びは悪くなかった園田、5月宇都宮で5年ぶりとなるVの松岡も調子はまずまずだ。
最近は自慢の快速を遺憾なく発揮している根田空史、足の親指骨折から復調してきた和田健太郎の千葉勢も侮れない。