検車場レポート
佐藤 慎太郎 福島 78期 |
レースは7番手の脇本雄太が打鐘で上昇すると、誘導と車間を空けていた正攻法の新田祐大が合わせて踏み込む。最終ホームで脇本が新田を叩くが、村上博幸が1センターで捌かれて、逃げる脇本の後ろには福島勢が入り込む。2センターで新田が外を踏み込むと、佐藤は内を突いて鮮やかに中割り。最後は粘り込む脇本を、渾身のハンドル投げで捕らえた。
佐藤は「格別というよりも実感がわかない。グッときて涙が出そうになったけど、泣いたら後輩におちょくられますからね。(賞金王になって)競輪王、賞金王など、〝王〟というのが付くのを取りたかった。まあ夜王でも良いんですけどね。強い時だけでなく、諦めずに応援してくれたファンと喜びをわかちあえて嬉しい」と喜びを語った。連係した新田とは厚い信頼関係で結ばれていた。「(新田は)何本もG1を獲っている選手。そこに付くことだけを考えていたので気持ち的な楽だった」。来年はグランプリ王者として常に1番車を背負うことになるが「重圧というよりはレースの中での責任を感じる。1番車は位置取り(の仕事)も大変」と追い込み選手らしい発言も出た。「生涯競輪選手で居続けたい。デビューしてからやってきたことを1日1日ずつ、1戦1戦、1歩1歩やっていく。来年もその次ぎのグランプリも出たいですね」。
1番人気を背負った脇本雄太は惜しくも準優勝。「グランプリ史上、何人かしかしていない先行逃げ切りに挑戦したが失敗。最後まで自分のレースがしたい意志があった。結果は残念だけど、あともうちょっと・・・」と〝先行日本一〟のプライドを持って戦っていた。「まだグランプリで終わりではない。戦いは続く」と来年の東京五輪を見据えていた。
脇本とのナショナルチーム対決が注目された新田祐大は「脇本と競いあっても良かったが、敵の選手を考えて1車下がった番手勝負の方が可能性があると思った。バックで清水が見えて、慌てていたんだと思う。それで脇本に合された」と脇本の強さを称える。後ろの佐藤の優勝に貢献したレースができたとを「凄い嬉しい。慎太郎さんはG1決勝とかでも『自分の走りをしろ』といってくれる。自分だけのレースになっても、今日も同じことを言ってくれた結果優勝に貢献できた」と語る姿からは厚い信頼関係で結ばれている様子をうかがうことができた。