宮城コンビが大暴れ ~奈良ミッドナイト~
開催休止もあって4月以来となる奈良競輪。12月11日からのミッドナイトはその開幕戦だ。V争いをリードするのは、阿部拓真、阿部架惟都の気心知れた宮城コンビだ。阿部拓は失格3回の影響で降級となったが、前期まで2年間S級1班で走っていた選手だ。今期はその実力を存分に発揮しており、ここまでに7Vを達成している。持ち味の俊敏な立ち回りと、まくり主体のタテ脚で敵を次々になぎ倒しているが、ここは直前の12月平塚で連係したばかりの阿部架に前を任せて勝負。A級最終戦をVで締める。阿部架は地脚を生かした積極策が売りで、“走るたびに強くなってる”とマークした選手が舌を巻く急成長ぶりを見せている。包囲網が徐々に厳しくなってきているが、先手を取って阿部拓と決めるレースを目指す。
迎え撃つのは、地元の吉田篤史だ。6月向日町113着以降はブレークと言っていい快進撃ぶりで、10月岐阜では完全優勝している。「無理に先行してという感じではなく、流れに応じて走ってて成績が安定してきた」。初のS級点獲得も確定的。田中俊充を連れて柔軟に立ち回り、宮城勢のペースを乱したい。
モツれれば松田大、山田裕哉の中部コンビや、小玉勇一、神山尚の関東勢にも出番がありそう。
高校時代にはアルペンスノーボードと自転車競技の二刀流で活躍した異色のレーサー。デビュー1年で定期昇班と出世のスピードとしては普通だが、今となっては前期までチャレンジだったのが信じられない阿部架。1・2班戦に上がるや、決勝の常連に定着し、9月取手ではバンクレコードタイの10秒7の上がりタイムを叩き出している。優勝こそないものの、今期はいきなりS級の点数を取ってしまいそうな勢いだ。「そろそろ優勝したいですね。(今期の活躍は)チャレンジの頃に比べ基本的に脚が上がったと思います。練習も自分で考えて量より質に変えましたた。スピード地脚を生かしていければ」。掛かり強烈な先行策が決まれば別線は手出しできない。
チャレンジは、長谷部龍一、林敬宏、下岡将也と中部の機動型が元気一杯。この3人を軸にV争いは繰り広げられよう。本命には長谷部を推す。本格デビューから未だ優勝がないものの、11着での勝ち上がりが続いており、準Vが4回と実力は折り紙付き。高いトップスピード、ダッシュ力は他を圧倒するもので、そろそろ決勝でも勝てるレースをつかんで一気に波に乗りたい。だが、林も目を離せない存在となってきた。野球の独立リーグ出身の林は、デビュー当初は駆け方が分かってない感じで、フカし過ぎて逃げては潰れてを繰り返してきた。が、レースに慣れて本領を発揮し始めた。「ダッシュには自信があるので、一気に主導権を取って逃げ切るレースが理想です」。直近の11月富山は112着。連日まくりで力の違うを示すと、決勝は同期の貴志修を相手に堂々と先行で勝負した。同じ短走路だけに積極策で旋風を巻き起こしそう。
一方、仲野結音は怪我からの復帰戦。2回優勝している実力者でも、さすがにまだ厳しいのでは。
2020年12月10日 23時01分
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選手詳細データ
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阿部架惟都 選手宮城・115期
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林敬宏 選手愛知・117期