S班の宿口陽一が記念初制覇 ~京王閣競輪場~

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宿口陽一
表彰式で『ゴールドカップ』を手にする宿口選手
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4コーナーで空いた内を突いてゴール線を一番に駆け抜けた
昨年前橋のドームスーパーナイトレースG3以来2度目のG3制覇

 11月1日(火)に京王閣競輪場で行われた開設73周年記念『ゴールドカップレース』の決勝戦は4車で結束した埼玉ラインの3番手を回った宿口陽一(埼玉・91期)が記念初制覇を達成。今年はここまでS班としてのプレシャーに押しつぶされそうになり、ファンの期待にも応えられず苦しいレースが続いていたが、ようやく一つの結果を出した。

 「嬉しいは嬉しいっすけど、最後が内からだったんで。外から(平原を抜けたら)だったら良かったんですけどね。喜びは半分っすね…」。共同インタビュー後の取材中に本音が口をついてでた。赤板から吉田有希を突っ張って2周駆けに出たライン先頭の森田優弥。番手で森田をリードしながら最終バックで番手まくりを放ち、それでも勢いの止まらない坂井を自ら持っていった平原康多。3番手で自らの役割を果たせなかった宿口の胸中は複雑だった。
 
 「森田も頑張ってくれたし、平原さんが(自分がやらなければいけないことも含めて)全部やってくれた。健太も4番手を固めてくれたんで。自分は佐々木君が平原さんの後ろを狙っていたので、あれで余裕がなくなってしまいましたね。自分のやるべきことができなくて…。初日に同じような展開で(内からきた)新田君に負けていたので、そこだけはと思っていたら…。もう前しか見えていなかったですね。自分が持っていければ健太まで連れ込めたって、終わってから平原さんに言われました。そのことをしっかりと心に止めて、一つ、一つやっていきたい」。
 
 今年はいわき平ダービー、高松の宮記念杯、共同通信社杯とビッグレースで3度の落車に見舞われ、思うように状態面を上げ切れていない中でも、仲間に叱咤激励を受けて気持ちの面ではようやく上向いてきている。
 「平原さんもそうですけど前橋で諸橋(愛)さんや同期のカミタク(神山拓弥)、桑原(大志)さんにもいろいろ言ってもらえて。諸橋さんには『去年までの自分はシビアだったけど、今年は甘い』って。桑原さんには『苦しみを楽しめ』って。『その苦しみを味わえるのなんてひと握りなんだから』って言われました。カミタクは『もっと気合をみせろ』って。『去年の
気持ちを忘れるな』って。気持ちの面に関しては今回それが今生きたのかなって」。
 
 今年は残りあと2か月を切ってしまったがS班としての重責を背負う戦いは続く。今年最後のG1となる競輪祭に向けて一日たりとも無駄にはしない。
 「まだ競輪祭があるので。自分のやるべきことをやっていってそこで勝負できるように。今年はもう平原さんの前を回ることはないと思うんですけど。普段からお世話になっていますし、平原さんの前で戦って返していきたい気持ちはあるので。でも今のままじゃ足りない。レースで信頼を取り戻していけるように。それが一番難しいんですけどね…。しっかり頑張りたい」。  
 
 焦ることなく一歩ずつ。本来の動きをと自信を取り戻した宿口が気持ちよくゴール線を駆け抜けて優勝を手にする日が待ち遠しい。

細川和輝記者

2022年11月1日 18時52分

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