金子貴が掉尾を飾る
激動の1年を過ごした金子が今年最後の出走を笑顔を終えた。
「優勝できて嬉しいです。(作戦は)雄作が仕上がっていたので、彼が優勝を狙えるタイミングで行ってくれればと思っていました。でも、無理矢理行ってくれたし、優勝は雄作のおかげです。最後は一成が見えて踏んだけど、キツくて。スピード的に差されたかと思いました」
8月のサマーナイトで恥骨と坐骨を骨折。選手生命の危機にすらさらされる大怪我だった。しかし、「ここまでいろんな人が支えてくれました」と仲間に力をもらい、不屈の精神で復活を果たす。すると、わずか2ヵ月後の12月久留米F1を見事優勝。今シリーズの準決勝でも、自らの力でファイナル行きの切符を手に入れると、決勝は竹内の番手から勝負強さを発揮して栄光をつかんだ。
「今年は怪我をしてからが苦しかったけど、結果を出すことが支えてくれた人への恩返しになると思って。でも、9月の段階では、まさか記念を優勝するとは思わなかったですね。やっぱり練習はうそをつかない」
試練を乗り越えて、さらに輝きを増した金子。次なる挑戦へ、止まることなく歩き出す。
「全日本までゆっくりしたいけど、1月にF1戦が連発であるので仕上げないと。来年は一人でも多く中部でグランプリに乗れるように。また、一戦一戦頑張るだけです」
渡邉は自力に転じて2着に入るも、その表情に笑顔はない。
「誰が見ても秀悟の突っ張りに付いていかないといけない。付け切って、そこからでしたね。悪いことをしてしまいました。去年のこともあって、3コーナーでかぶる前に力を出し切ろうと思って。届かなかったですね。ゴール前でも焦ってしまいました」
近藤は、最終バックから抜群のスピードを見せたが3着まで。
「打鐘で踏み合ったんで『よし』と思ったけど…。そこで仕掛ける勇気がなかったですね。そこからは渡邉君の追い上げを祈っていました。友和さんが内を行った分、僕は渡邉君を目掛けて。一瞬しか踏んでいません」
金子を優勝に導いた竹内だったが、自身の記念初優勝はまたもお預けに。
「優勝は遠いですね。番手にハマってからは余裕があったけど、綺麗に踏めなかったし、最後は力任せになってしまいました。でも、調子が悪い中で決勝に乗れたんで、プラスに考えます」
持ち味を発揮した早坂だったが、竹内に番手に入られてはキツかった。
「そもそも番手に入ったのが竹内君なんで。流したら出てくるし、踏むしかなかったですね。一成さんも来ないと思ったし、どうしようもなかったです。悔しいですね」