• 取手競輪場開設67周年記念水戸黄門賞6/3〜6/6

後記 GⅢ 取手 06/03

地元で師匠とワンツー

吉澤純平

吉澤純平

 自力で地元記念を初めて制覇し、右手を突き上げる吉澤純平選手。ゴール後は師匠の武田豊樹選手が優勝を称えた(写真左下)。まくった1吉澤選手が、7武田選手を寄せ付けず1着でゴール(写真右)。

 地元の3車に諸橋愛で結束した2日目の優秀とは変わって、地元勢が吉澤、吉田のラインに分かれた決勝。優秀は吉田の番手で重責を果たした吉澤が、自力選手としてのプライドを貫きV。優秀に次ぐシリーズ3度目の師匠、武田とのワンツーを結実させた。
 「番手を回るのもひとつの手だけど。自力でやりたいっていう気持ちの葛藤があった。気持ち良く分かれて新山、(吉田)拓矢との3分戦の方が見ている方たちも気持ちいいかなと」
 同期の新山に吉田が襲い掛かるが、すでに先行のスイッチが入っていた新山が突っ張り吉田は不発。仕掛け時をうかがっていた吉澤は、最終1センター過ぎから満を持してスパート。合わせて出た古性をスピードの違いでとらえると、武田を1車身半突き放してゴールを駆け抜けた。
 「もう(古性と)スピードが合ってしまっていたので、無理やり力ずくで行った。自力でやりたいっていうワガママもあったんで、結果がついてきてよかった」
 3月の大垣記念からウィナーズカップにかけ3走続けて落車に見舞われ、今年すでに4度の落車の憂き目。怪我の苦しさを一番近いところ見ていた武田も、「ウィナーズカップでたくさん頑張ってくれたけど、落車してしまって…。それでも早い段階で復帰してくれたからよかった」と、愛弟子の復帰を喜んだ。
 「もうひとつレベルが上がらないとG1じゃ厳しい。毎回こういうメンバーでやって勝つのは難しいけど、ひとつ、ひとつをクリアしていけばG1が見えてくる」
 14年には落車で頭蓋骨を骨折。怪我に泣いてきた吉澤が地元で通算2度目の記念V。周囲が認める努力の塊は、これからも不屈の心で師匠とともにG戦線を歩んでいく。
 吉澤の驚異の加速力に武田は流れ込みが精いっぱい。
 「2着確保が精いっぱいでした。今回のシリーズで吉澤は育ったんじゃないかと思う。平原(康多)くらいになって欲しいですね」
 北日本勢後位の3番手を手に入れた古性は、最終2角からまくるも地元師弟コンビの大波に飲み込まれた。
 「かぶる前にと思って行ったけど、力の差ですね。(吉澤とスピードが)全然違った、力不足です」
 吉田との同期対決にも注目が集まった新山が、主導権を明け渡すことなく先行。吉田を不発に追いやったものの、意外な顔で振り返る。
 「(吉田は)もっと早く来るのかと思ってたんですけど。出して中団でもっていう考えもあったんで、7、8割で踏んでいた。そしたら思いのほか来なかった」
 吉田は一度上昇を始めたが、結局8番手に下げての赤板2角手前からの巻き返し。新山に合わされ出切れずじまいでのシンガリに、悔しそうに言葉を絞り出す。
 「あそこを叩ければよかったけど、全然出なかった」

Race Playback

レース展開3

レース経過

誘導員 : 浦川尊明

 号砲が鳴ると、志村がスタートを取る。初手は吉澤―武田―志村、新山―佐藤、吉田―芦澤、古性、山本の並び。
 レースが動いたのは青板の2センターから。吉田が上昇すると、新山が合わせ赤板で前に出る。この動きに、それぞれ単騎の古性、山本も続く。新山は別線を警戒しながら駆けると、後方に下げた吉田が1センターから踏み上げるのを確認してピッチを上げる。突っ張られた吉田は、中団で併走した後に力尽きて後退。前団の踏み合いが収まると、今度は吉澤が最終1センターからアタック。抜群のスピードで前団に迫り、3番手からまくった古性を2センターで捕らえる。そのままスピードは衰えず、1車身以上のセフティーリードを保って優勝した。武田は古性のけん制で吉澤と口が空くも、懸命に追いかけて2着に入る。古性は吉澤に力負けして3着。

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