37歳、充実の記念初V
「初日が(田中)晴基、準決は桐山君、それで郡司君ですから」
デビュー16年目の遅すぎた記念初優勝。苦労人の和田が、まずはラインへの感謝を口にする。
「単騎でやった2日目が、なにもできなかった。ひとりでやれば、ああなるのが目に見えている」
新山と竹内の先行争いが、赤板で幕を開ける。7番手に置かれはしたが、郡司にとっては悪くない流れ。が、仕掛けた郡司は浮いた竹内の外を回されるロスが響いて、中団から出た菅田に合わされた。
「郡司君が(最終)ホームでしっかり仕掛けてくれた。ああいうのが信頼の厚いところですね」
和田は自力に転じた菅田の後ろにスイッチ。直線半ばでその菅田をとらえてゴールを駆け抜けた。
「シビアだったかもしれないけど、郡司君もあそこまでやってくれたんで。やっぱり(ラインでの)ワンツーがベストなんで、優勝しても(喜びは)半分です」
近況、勝ち星を量産している和田の差し脚が、夜の函館バンクでうなりを上げた。
「(競輪は)これだけじゃないし、郡司君にもちゃんと返せるように。どのレースもできるかぎりの仕事をして、一走、一走、頑張っていくだけです」
バースデーを迎えた全プロ記念最終日は、白星で自ら花を添えた。9日後に記念初V。37歳の和田が、濃密な時を過ごしている。
単騎の園田は、じっくり脚力を温存。和田を追走して直線で踏み込んだが2着。
「和田君が入ってきて、バックを踏んで怯んでしまった。あれがきれいに付いていけたら…」
主導権を守り切った新山との連結を外した菅田は、4番手から自力に転じてまくる。しかしながら、直線で和田、園田に交わされた。
「(新山)響平と(竹内)雄作は先行選手ですから。お互いのプライドをもっている。俺が離れたことでレースをぶち壊してしまった。こういうことをやっていると、(番手を)回してもらえなくなるし、次は失敗しないように」
「内に行くか、外に行くか迷った」とは、結果的に外を回って不発の郡司。
「竹内さんがやめ気味だった。そこで外を回ったぶん、菅田さんに行かれた。内に行っていれば…」