初出場で新女王に
「まさか自分が獲れるとは思ってなかった。初出場、初優勝を目指してましたけど、ビックリです」
5月平でのガールズケイリンコレクションで、念願のビッグレースを初制覇。「今年はグランプリ出場を決めることと、タイトルを1つ獲りたいと思っていた。両方が達成できた」と、前検日に今年を振り返っていた。その柳原真緒が、年末にそれ以上のタイトルをつかみ取った。
レースは最終ホームで4番手に児玉碧衣、併走の石井寛子、佐藤水菜を前に見る7番手の最後方。厳しい展開に陥ったが、柳原はあくまで落ち着いていた。コースの空いた内に活路を見出して、前に踏み込んだ。
「(最終2コーナー手前で)内が空いていた。佐藤さんが行った上は行けないと思ったので、自分はそっちかなと思って瞬時に判断ができました。内に行って空くかどうかはわからなかったけど空いた」
最終バックで前団にとりつくと、外で児玉、佐藤が落車するアクシデント。2センターでは前に奥井迪、山原さくらがいたが、柳原は4コーナーから力いっぱい踏み込んだ。
「師匠(市田佳寿浩・76期、引退)からは勝ったと思ったら負けると言われていた。それであそこは思い切り踏みました」
一転、Vロードが開けた柳原だが過信はなかった。直線でスピードに乗せると、前の2人をまとめて交わして先頭でゴールを駆け抜けた。
「正直、このメンバーでは勝てるとは思ってなかった。ただ、自分のやるべきことを冷静にやらないと勝てないなと。そこは冷静にできました。グランプリ獲るまではデキすぎですし、師匠と家族に支えてもらって感謝しかないです」
110期以降としては、初のクイーン。初の賞金女王にも輝いたが、柳原は舞い上がることなく、現状を見つめてこう口を開く。
「自分は新女王と言えるほどのレース内容も脚もない。1年かけてそう言ってもらえるように。グランプリを優勝した者らしいレースができるように頑張ります」
師匠と二人三脚でひたむきにガールズケイリンに取り組んできた柳原だけに、これからも歩みを止めることはない。
周回中は6番手にいた山原さくらは、赤板2コーナーで踏み込んで好位の3番手に入る。結果的にそのまま、前の尾方真生が逃げて、番手の奥井迪がまくる流れで、前々が功を奏した。
「初手が思ったよりも後ろになってしまって…。もっと前が欲しかったんですけど、後方になってしまったので、ジャンで切らないと。そこが一番の勝負どころだったと思います。夢をみましたね。でも、サマーナイトフェスティバルがあったからこそ、今回のレースができたと思う。今回のレースが来年につなげられるように精進していきたい」
打鐘の3コーナー過ぎに踏み込んだ奥井迪だったが、合わせて尾方がペースアップ。2番手に入り直して、再度のまくりで見せ場をつくって3着に入った。
「(打鐘で)山原さんが来たので、(尾方の後ろから)出ていこうと思ったんですけど、尾方さんも踏んでいった。そこは1回落ち着いてと。後ろからも来ていなかったので、立て直そうと。最終2コーナーからは、自分のタイミングで行きました。(結果的に優勝できなくて)周りのレベルを感じましたけど、すごく落ち着いては走れた。ファンの方の声援も聞こえましたし、来年は地元(立川)でこの声援を聞きたい。もうこれが最後かなっていう思いもあったんですけど…。ファンの方たちのおかげで、もう一度挑戦しようっていう気持ちをもらえました」