GⅠSPECIAL Inside report GⅠ 静岡 04/30
GW開催で売り上げアップ
中川誠一郎の劇的V。ダービー史にまた新たなドラマが刻まれた区切りの第70回は、ゴールデンウィーク(GW)期間中に開催された。6日間の売り上げも久しぶりに150億円を大きく上回り、127億円にとどまった3月の名古屋ダービーと比較して、26億円近い売り上げ増となった。「平成28年熊本地震被災地支援競輪」として行われた今シリーズだけに、売り上げ増は被災地復興への一助としても明るいニュースに違いない。
GWシリーズが定着していた平塚記念だが、今年はダービーの影響で遅れての開催。例年はホームバンクの平塚に照準を合わせていた桐山敬太郎は、4331着とまとめた。
「3月のダービーの時は失格したり落車だったり…、ダメだった。それがこの時期なら、いつも平塚に合わせているんでいいですよ。普段3着が少ないんで、それが取れてるってことは、1、2着につながってくると思う」
2月当所記念の落車で鎖骨を骨折。復帰2場所目の今シリーズが渡邉雄太にとっては、初めてのG1ステージだった。
「(6日間シリーズで)途中空いているのは楽だったけど、体じゃなく気持ちの方がキツかったですね。それは地元だからとかじゃないです。まだまだ力は足りないけど、(鎖骨の針金を)抜いたら本気を出しますよ(笑)」
骨盤骨折の大怪我を負った一昨年から復帰1年も満たない今年の1月に鎖骨骨折などに見舞われるアクシデント。復帰3場所目で新田康仁が、地元G1の舞台にカムバック。
「これが現状です。レースの流れに乗れているだけで、3割くらいしか戻っていない。自力で戦うっていうことでは、まだまだ全然」
最終日は流れ込みも2着の連対。わずからながらも光が差したようで、これからも焦ることなく新田の復調への道程を見守りたい。
二次予選では浅井康太を不発に追いやる先行策で、地元の岡村潤に勝ち星をプレゼントした石井秀治。5日目は渡邉雄、最終日は松坂洋平の番手で奮闘。以前にも増して結束を高める南関勢のキーマンのひとりだ。
「二次予選はジャンで浅井君が来なかった時点でスイッチが入った。バックで浅井君にまくられなかったのは良かった。最終日は番手で冷静に対処できた。みんなで力を合わせて南関を盛り上げていきたい。深谷(知広)君とか強いけど、南関のみんなで力を合わせればっていうのもある。(番手は)その都度難しいけど、経験を積んでいけば前での自分の戦いにも幅が出てくる。37歳でまだまだパワーアップ、進化してますから」中部の流れを受け継ぐ吉田敏
3月ダービー、6月高松宮記念杯と今年はホームの名古屋で2度のG1。その狭間にあった今シリーズだったが、吉田敏洋は1332着。04年のG1初優出から5度目の決勝で、もっとタイトルに近づいた。そのことは誰よりも吉田自身が肌で感じ取っている。
「浅井、竹内(雄作)、深谷がいて、みんが頑張ってくれた。自分がやってきたことは間違いじゃなかった。考えてきたこと、練習の取り組み方も間違ってなかった。それが再確認できた。F1だろうが、記念だろうが日々のレースひとつ、ひとつの積み重ねが大事だと、偉大な先輩方に教えてもらったことが実感できた。それで(準Vは)もう少し頑張れってことなのかなって…」勝負のASを見据える稲垣裕
その吉田と同じく強い思いでタイトル奪取を掲げている稲垣裕之は、2月全日本選抜ファイナルでの落車失格で鎖骨骨折の憂き目。G1復帰場所と位置づけてダービーに臨んだ。
「2月に(全日本選抜で)失格して迷惑を掛けたっていう気持ちがあった。しっかり練習はしてきました。記念とG1はまったく違うし、(特選の)G1復帰戦で先行で力を出し切って3着に残れたのは自信になります。一走、一走、感触と自信が戻ってきているのを実感している。怪我から2カ月って考えたらヨシとしないといけないところもある。ただ、それで満足はしたらいけない。次の宮杯はあっ旋停止で走れないから、長いスパンで仕上げていきたい。怪我から半年がひとつの目安だと思って、オールスターに向けていく」
シリーズ2勝。ゴールデンレーサー賞を制した原田研太朗は、前回の函館F1完全Vから白星を量産し乗れている。
「前回の函館からシューズを戻して、ギアも3.92から86にした。深谷さんに高知記念で教えてもらったりした。自分は回していくタイプなんで、ギアもそっちの方がいいかと」