児玉碧衣が、地元でＧ１を制覇。脚見せから『碧衣コール』が巻き起こり、児玉もレース後の会見で「声援が力になった」と何度も繰り返した。人気と、それに見合った実力を備える児玉にだからこそ、勝利の女神は微笑んだのだろう。

　開催の前半戦では、昨年と同じくＧ１概定ではないＡ、Ｂ、Ｃのグループで争覇が争われた。グループＡを制したのは、松本詩乃。デビューから２年目でつかんだ初優勝は、俊敏に位置を取ってから松井優佳を差し切る殊勲の１勝だった。

　「考えた通りのレースをできたと思います。ホームで渡部（遥）さんを合わせ切ろうと思って踏んで、すごい良い反応ができたと思います。いつもなら焦って無駄な動きをしてしまうけど、瞬時の判断で松井さんの後ろに入れた。差せる感覚はなかったんですけど、どうしても優勝したかったので思いっきり踏みました。自分で動くべきところで動いて勝てたので良かったです。自分はまだまだ他の自力選手に比べたら、バック数も、（自力の）決まり手も少ない。何でもできる選手になるのが目標だけど、しっかり自分で動ける選手になりたいです」

　グループＣの優勝は、124期の竹野百香。３日間人気に応えての完全Ｖだ。決勝は警戒されたなかで応じた運びを見せ、鮮やかにまくってみせた。純粋な脚力のポテンシャルはいうまでもないが、精神的な成長も感じさせる優勝だった。

　「２日間先行して、先行で優勝したかったので思いっきりｓを取りに行ったんですけど、失敗してなかなか位置が決まらなくて。周回中の時に脚を使ってしまいました。田中（まい）さんがさらに自分を切りにきたし、もう脚も使っていたので先行は難しいと分かったので、頭を切り替えました。先行は出来なかったけど、早めに仕掛けてバックでは先頭に立ちたかったので良かったと思います。あの状況だったら、納得のいくレースができました。来年こそは上のクラス（Ｇ１）を走りたいです。そこに向けて、違うことをするよりも今のスタイルで頑張っていきたい。最近はスピードを強化するような練習をしているので、そこをもっと伸ばしていきたい」

　「気持ちで誰にも負けないように」。鈴木美教は、今年地元で行われるＧＧＰ出場を目標に、極限の精神状態でＧ１を戦っている。それでも今節は、決勝進出は叶わなかった。だが、今年のガールズＧ１はまだ一つめが終わっただけ。ここからの巻き返しを誓った。

　「準決は勝てたレースでもあった。でも、勝ち切れなかった。大事なところで気持ちの弱さが出たんだと思います。今までのグレードレースだと、決勝に上がれなかった時に、最終日は気持ちが切れてしまった。今回は最終日もしっかり１着を狙って走れたのは良かったと思います。でも、尾方（真生）さんを差せなかった。自分の持ち味は、なんでもやって最後に追い込めること。Ｇ１クラスのレースになっても、道中で脚をためられていないと、最後に追い込む持ち味が出せない。脚力を底上げしていって、次のＧ１はまた頑張りたいです」

　児玉の復活Ｖが話題となった今開催だったが、決勝３着の尾崎睦もファンに復活を強く印象付けた。「自分と向き合って、練習量を増やして、そこから質も上がっていった」。普通開催での12連勝も、今開催の結果も、不断の努力の賜物。強い尾崎が、帰ってきた。

　「（決勝は久米）詩も（仕掛けて）行くかと思って見た部分があった。悔やまれる点でいえばそこです。自分のタイミングで勝負しようと思ったけど、（児玉碧衣と）スピードが違いましたね。もう１つ２つ３つ（レベルを）上げていかないと優勝には届かないんだなって思った。でも、今やっていることは間違っていないので、諦めずに続けていけばタイトルは獲れると思う」