「¥JOY×プロスポーツ記者」が選ぶ極上バトル② ~KEIRINグランプリ2012・京王閣競輪場~
満身創痍の中で掴んだ栄光
舞台は2012年12月30日、京王閣競輪場。大粒の雨が降りしきる中で行われた『KEIRINグランプリ2012』。ファンの支持を一番に集めたのは直前の競輪祭の優勝を含めて今年、ここまでG1で2Vの武田豊樹(茨城・88期)。昨年と同様に長塚智広(茨城・81期)を従えてリベンジに燃えていた。直前の練習中に落車に見舞われていた村上義弘(京都・73期)グランプリで使用する予定であった新車が破損し、肋骨骨折明けと決してベストな状態と言える状態ではなかった。
村上義弘は2年連続で単騎戦。相手の機動型も昨年と同じく武田、深谷知広(愛知・96期)、佐藤友和(岩手・88期)の3名で、3対3対2対1のライン構成となった。号砲と共に成田和也(福島・88期)が飛び出し、佐藤と山崎芳仁(福島・88期)を迎え入れて北勢が正攻法に構える。後ろ攻めとなった武田が青板4コーナーからゆっくりと上昇して赤板で佐藤の外で並んだ所でまさかのアクシデントが発生。誘導員と接触してしまい車体故障に見舞われた佐藤はズルズルと後退。実況アナウンサーも言葉に詰まり、会場がどよめく中で打鐘が鳴り響く。4番手の外に追い上げていた深谷が3コーナーから一気に踏み込み武田を叩いて主導権。冷静に中部勢を追い掛けていた村上は1コーナーで武田豊樹の横を通過して1センターでようやく単独となったが最終2コーナーから間髪入れずまくり発進。深谷の番手を回っていた浅井康太(三重・90期)は村上の動きに反応できず、自力に転じて後方からまくってきた山崎を張りながら村上に何とかスイッチ。そのままけん命に抜きにかかったが、成田が鋭く中を割って迫り、優勝争いは粘る村上と迫る成田の両名に絞られた。末にタイヤ差で村上が初のグランプリ制覇を達成し、同時に史上初の兄弟グランプリレーサー誕生の瞬間だった。
大粒の雨が降りしきる中で行われたウイニングラン。喜びを噛み締めながらファンの声援にこたえるように両手でガッツポーズ。共に戦ってきた近畿の後輩たちに抱えられて何度も大きく中に舞った。
レース結果:1着 村上義弘
2着 成田和也 タイヤ差
3着 浅井康太 1/2輪差
2車単 4-3 14,190円 (51)
3連単 4-3-8 84,800円 (287)
レース映像はこちら→https://www.youtube.com/watch?v=E48EbtZlzdo
2020年5月3日 12時00分
-
選手詳細データ
-
村上義弘 選手京都・73期