松本貴治がスピードバトルを制す
次世代の競輪界を担う111期と113期の精鋭による頂上決戦は全員が単騎を選択したことで、個と個の争いになったが、流れに応じて冷静沈着に立ち回った松本貴治が最後に温存していた末脚を爆発させた。
「(初手は2番手で)南(潤)が何かしらすると思ってたんで、その後ろにいられて最初はいい位置が取れたなと思ってました。(レースが動き出した)あの時は野口(裕史)さんが一切緩めずに目いっぱい踏んでたんで、とりあえず詰める勢いでという感じでした。それで(最終)バックら辺で後ろもまだ来てない感じだったんで、最後の直線も長いので、ためてためてって感じでしたね。ずっと軽い感じはしてました」
愛媛ライン3車の先頭を務めた昨年のヤンググランプリは先行策で見せ場を作ったが、単騎を選択した今年は勝ち徹してラストチャンスをモノにした。タイトルを獲得したことで周囲の期待は大きく高まる。
「まさか獲れるとは思ってなかった。一発レースで勝てたんで自信にはなりました。まだG1とかでもなかなか予選とか通過できない実力なんで、しっかり頑張っていかないとなっていう感じですね。(今後は)しっかり四国の先輩方に信頼してもらえるような先行選手になってG1の決勝に乗りたいです」
清水裕友、松浦悠士のS班2名を筆頭に勢力を増している中四国勢。成長を続ける松本がけん引役として20年のビッグ戦線を賑わす。
先行した野口裕史の番手に入って絶好かと思われた森田優弥だったが、松本に伸び負けた。
「先行も考えていたんですけど、踏み合ってはダメですからね。自分でも踏んで行ったんですが、野口さんが来てくれたんで。完全にタマタマですね。詰めるというよりも自分が楽だと思う位置で回してました。まくっていこうかと思ったんですけどキツかったです。余裕はあったんですが、知らないうちに脚を使ってました」
3位入線の上田尭弥は内側追い抜きにより失格。後方からまくり上げた松井宏佑が3着に繰り上がった。
「見すぎちゃいましたね。結果、行ってしまえば良かったです。ダメですね…。調子は悪くなかっただけにもったいない。脚は余っていたけど、自分のレースに持ち込めなかったです」
全員が単騎のレースで主導権を握ったのは野口裕史。ゴール後に落車したが、大舞台でしっかりアピールした。
「1周半なら行けるかなって感じはありました。練習通りに踏めたんですけど、最後はタレました。もう少し遅めに行ければ良かったんですけどね。(落車の怪我は)首と全身の筋肉が硬直している感じだけど大丈夫そうです」