後輩との連係結実させてG1奪取
「競輪祭は近畿勢と相性が悪い大会だったので、なんとか払しょくできて良かったです」
59年ぶりに近畿勢に、競輪祭のタイトルをもたらした。脇本雄太は、自身の久しぶりのG1制覇よりも、近畿の一員としてまずはこう振り返った。古性優作が準決で失格を喫して不在。決勝では一丸となって臨んだ近畿勢の重責を果たして、開放されたように一息ついた。
「寺崎(浩平)君が仕掛けるところを見逃さないように。前回の大会(寬仁親王牌の決勝)でも(寺崎の番手で)失敗しているので、そこは意識していました。最終ホームではいつでも(自分で仕掛けて)行けるように構えてはいたんですけど、(犬伏湧也が)本当に来るとは思っていなかったので焦りました。前回の失敗があるからこそ、今回は反応できた。糧にできたのかなって思います」
10月の寬仁親王牌では逃げた寺崎の番手で好展開も、降りてきた郡司浩平に押し込められて万事休す。7着に敗れていた。それだけに同じようなポイントで迫ってきた犬伏に対して、同じ轍を踏むわけにはいかなかった。犬伏に並ばれる前に外に持ち出した脇本が、最終1コーナーから自力に転じて踏み上げて番手発進。犬伏を退けて、そのまま先頭でゴールを駆け抜けた。
「G1の決勝では(寺崎と)3回、連係しているけど、ようやくうまくいったので本当にホッとしています」
今シリーズは2走合計のポイント制による一次予選。1走目ではまさかのシンガリ惨敗も、2走目からは4連勝で一昨年のオールスター以来となるタイトルを手にした。準決は窓場千加頼、決勝では寺崎に前を託しての優勝だった。
「近畿勢の後輩に助けられたと思っています。去年のオールスターの大怪我からかなり時間が経ったとはいえ、自分のなかで本調子ではない戦いが強いられていたので、そのあたりは少しずつですけど復調しているのかなと」
怪我にも泣かされ、ノンタイトルで臨んだ昨年のグランプリだったが、今年はグランドスラムに王手をかける競輪祭初制覇で弾みをつけてグランプリを迎える。
「(2月の全日本選抜にかかるグランドスラムの)そこよりもグランプリに向けて整えたい。(近畿は)古性君と2人でまたグランプリを目指すことができるので頑張りたいですね」
自身の機動力だけで白星を量産していた古い殻を破り、脇本が新たなステージに向かっている。
思惑通り運べなかった犬伏湧也は、最終ホームから踏み出すも脇本の発進に後位スイッチが精いっぱい。直線でも脇本を脅かすことができずに完敗の準V。
「突っ張りつつ、脇本さんのところで勝負したかった。(最終)ホームで脇本さんが行く前に仕掛けないと、チャンスがないと思った。番手にハマってからはゴール前勝負と思ったが、脇本さんが一枚も二枚も強かった。脚をためるイメージだったが、抜くのはキツかった。僕の力が及ばないところが悔しいですね。小さいレースになってしまって申し訳なかったです」
犬伏のスパートまでに脚力を消耗していた松浦悠士は、脇本、犬伏との車間が詰まらずの3着。脇本の優勝で自身が2着なら、逆転でのグランプリ出場があったが潔く出直しを誓う。
「犬伏君が誘導との間合いがあまり上手ではなかった。ジャンで(犬伏が行くと思い)踏み込んだ分、(最終)ホームで脚が戻っていなかった。外、外に浮かされてしまい、付いていけても中を割れるかもわからなかった。ここまで連れてきてくれた中四国の仲間と、獲れるんじゃないかという雰囲気をつくってくれたお客さんに感謝をしたい。付いていけばチャンスがあった。出し切ったんで、脚負け以外のなにものでもないです」