• 小倉競輪場 第66回朝日新聞社杯競輪祭11/19〜11/24

後記 GⅠ 小倉 11/19

後輩との連係結実させてG1奪取

脇本雄太

脇本雄太

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 「競輪祭は近畿勢と相性が悪い大会だったので、なんとか払しょくできて良かったです」
 59年ぶりに近畿勢に、競輪祭のタイトルをもたらした。脇本雄太は、自身の久しぶりのG1制覇よりも、近畿の一員としてまずはこう振り返った。古性優作が準決で失格を喫して不在。決勝では一丸となって臨んだ近畿勢の重責を果たして、開放されたように一息ついた。
 「寺崎(浩平)君が仕掛けるところを見逃さないように。前回の大会(寬仁親王牌の決勝)でも(寺崎の番手で)失敗しているので、そこは意識していました。最終ホームではいつでも(自分で仕掛けて)行けるように構えてはいたんですけど、(犬伏湧也が)本当に来るとは思っていなかったので焦りました。前回の失敗があるからこそ、今回は反応できた。糧にできたのかなって思います」
 10月の寬仁親王牌では逃げた寺崎の番手で好展開も、降りてきた郡司浩平に押し込められて万事休す。7着に敗れていた。それだけに同じようなポイントで迫ってきた犬伏に対して、同じ轍を踏むわけにはいかなかった。犬伏に並ばれる前に外に持ち出した脇本が、最終1コーナーから自力に転じて踏み上げて番手発進。犬伏を退けて、そのまま先頭でゴールを駆け抜けた。
 「G1の決勝では(寺崎と)3回、連係しているけど、ようやくうまくいったので本当にホッとしています」
 今シリーズは2走合計のポイント制による一次予選。1走目ではまさかのシンガリ惨敗も、2走目からは4連勝で一昨年のオールスター以来となるタイトルを手にした。準決は窓場千加頼、決勝では寺崎に前を託しての優勝だった。
 「近畿勢の後輩に助けられたと思っています。去年のオールスターの大怪我からかなり時間が経ったとはいえ、自分のなかで本調子ではない戦いが強いられていたので、そのあたりは少しずつですけど復調しているのかなと」
 怪我にも泣かされ、ノンタイトルで臨んだ昨年のグランプリだったが、今年はグランドスラムに王手をかける競輪祭初制覇で弾みをつけてグランプリを迎える。
 「(2月の全日本選抜にかかるグランドスラムの)そこよりもグランプリに向けて整えたい。(近畿は)古性君と2人でまたグランプリを目指すことができるので頑張りたいですね」
 自身の機動力だけで白星を量産していた古い殻を破り、脇本が新たなステージに向かっている。

 思惑通り運べなかった犬伏湧也は、最終ホームから踏み出すも脇本の発進に後位スイッチが精いっぱい。直線でも脇本を脅かすことができずに完敗の準V。
 「突っ張りつつ、脇本さんのところで勝負したかった。(最終)ホームで脇本さんが行く前に仕掛けないと、チャンスがないと思った。番手にハマってからはゴール前勝負と思ったが、脇本さんが一枚も二枚も強かった。脚をためるイメージだったが、抜くのはキツかった。僕の力が及ばないところが悔しいですね。小さいレースになってしまって申し訳なかったです」

 犬伏のスパートまでに脚力を消耗していた松浦悠士は、脇本、犬伏との車間が詰まらずの3着。脇本の優勝で自身が2着なら、逆転でのグランプリ出場があったが潔く出直しを誓う。
 「犬伏君が誘導との間合いがあまり上手ではなかった。ジャンで(犬伏が行くと思い)踏み込んだ分、(最終)ホームで脚が戻っていなかった。外、外に浮かされてしまい、付いていけても中を割れるかもわからなかった。ここまで連れてきてくれた中四国の仲間と、獲れるんじゃないかという雰囲気をつくってくれたお客さんに感謝をしたい。付いていけばチャンスがあった。出し切ったんで、脚負け以外のなにものでもないです」

Race Playback

レース展開4
 番手発進のロングまくりで脇本雄太選手が優勝。1車身差の2着に犬伏湧也選手。松浦悠士選手は前の2人を詰め切れず3着。

レース経過

誘導員 : 大坪功一

 号砲が鳴ると、松浦悠士、荒井崇博、菅田壱道の3車が飛び出したが、荒井が制して誘導員を追う。道中は、犬伏湧也-松浦-荒井、菅田-松谷秀幸、浅井康太、寺崎浩平-脇本雄太-村上博幸の並び。 青板周回の1コーナー過ぎから寺崎が上昇し、バックで犬伏に並びかける。犬伏が外帯線を外して寺崎の動きを警戒すると、浅井が西勢の後ろに切り替える。一度イエローラインの外まで上がった寺崎は、赤板周回の誘導員退避に合わせて飛び出す。犬伏は4番手に入り、浅井が7番手、東勢は後方で打鐘を迎える。寺崎は打鐘過ぎからペースを上げていくが、最終ホーム付近から4番手の犬伏がスパート。この動きに合わせて脇本が番手発進すると、村上が踏み遅れて、犬伏が脇本の後位に収まる。しかし松浦は犬伏から遅れて、前との車間が空いた3番手が松浦と村上で併走となる。バックをすぎても脇本のスピードは鈍らない。直線に入っても後位にハマった犬伏を寄せ付けずにV。犬伏は最終1センターで脇本後位を取ったものの、そのあとは仕掛けられず2着。前2車とは車間が空くも、村上との併走を踏み勝った松浦が3着。

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