• 平塚競輪場 KEIRINグランプリ202512/28〜12/30

後記 GP 平塚 12/28 ガールズグランプリ

史上初の逃げ切りで年間グランプリスラム

佐藤水菜

佐藤水菜

グランプリ優勝写真
グランプリ優勝写真
グランプリ優勝写真

 ガールズケイリン史上初となるグランプリスラムを8月の女子オールスターで、11月の競輪祭女子王座戦で年間グランドスラム。誰も成し得なかった新たな道を切り開いてきた佐藤水菜が、これまで14回行われたガールズグランプリで初めての逃げ切り制覇。年間グランドスラムに自ら花を添えた。
 「レースの組み立ては、なにも考えてなかったです。(スタートを)出た位置からの組み立てだったんですけど、まさか4番手が取れるとは思わなかったんでうれしかったです」
 あくまで自然体。佐藤は持てる力を発揮することに集中した。
 「どんなにキツい展開でも、苦しい展開でも、自力を出してみなさんに納得するレースをしなきゃと近年はずっと思っている。それは世界選手権でもそうですし、しっかりと自力を出すようになった」
 10月の世界選手権のケイリンで連覇。世界女王、そしてガールズケイリンの女王としての自覚でもあった。
 「今日は自分で先行したり、自力を出して頑張りたいってアップの前に決めていた。しっかりと自力を出す時に出せて、優勝できたのでうれしいです」
 打鐘4コーナー手前で児玉碧衣が先頭に立つと、その上を叩いて最終ホーム手前で主導権を奪取。ラインのないガールズケイリンにとっては、リスキーとも思える先行策に出た。
 「一生懸命だったので、レースがどんなだったかとか覚えてなくて、ただただガムシャラに頑張った記憶しかないです」
 こう振り返った佐藤だが、ラスト1周のペースで自分を見失うことはなかった。4番手からまくりで迫る尾崎睦を最終2コーナーからの加速で合わせて、2番手に入っていた児玉碧衣と併走。直線でも余裕たっぷりに後続を振り切った。
 「今年の最後を締めくくるレースは、納得いくような走りをしようって決めていた。精いっぱい頑張ったレースでした」
 完ぺきな内容での年間グランプリスラム。国内外で敵なしでも、さらに高いモチベーションで来年を見据える。
 「私自身、昨日より強い自分をって思って、毎日目標を立ててやっています。ただ、今年は自分の予想をはるかに上回るすごい成績を収めてしまって、このプレッシャーにどう耐えようか悩む日々になるなっていうのがあります。けど、たくさんの方が応援してくれるおかげで、くじけずに前を向いて一生懸命頑張れている。来年は、今年の自分をもっと超えられるように頑張ります」
 絶対的な女王は慢心することなく、自身と向き合い今日の自分を超えていく。

 佐藤が主導権を奪い、4番手に追い上げた尾崎睦が最終2コーナー手前からまくりを打つ。2番手の児玉に並んで直線でさらに踏み込むも2着。
 「自分を信じてやろうと思っていたので、そこは良かったんですけど。(佐藤の)3番手に入りたかったですね。終わってみればですけど。そうすれば横まで並べたのかなって。6番(坂口楓華)の位置にはいたかった。勇気をもってまくりにいけたので、そこはいままでにはなかった自分の部分だと思う。一年間やってきたことは間違いじゃなかった。優勝以外は意味がないって言ったら良くはないと思うんですけど、優勝以外は意味がないと思っていた。優勝できなかったので、日々の積み重ねが足りなかったなって。もう少し見つめ直さないと」

 尾崎のまくりを追いかけた久米詩は、最終バック過ぎには3車併走の真ん中。苦しいポジションになったものの直線でしぶとく伸びた。
 「もうなにもできなかったですね。最初は(梅川)風子さんの後ろから運びたいなって思っていたので、落ち着いてはいたんですけど。ジャンぐらいでちょっと狂ってしまった。リカバリーをしようと思えば、ポイント、ポイントはあったと思う。けど、全然ダメでした。思い切りがなかったというか、迷ってばかりいました」

Race Playback

レース展開4
 先行策に出た佐藤水菜選手が、後続を振り切って優勝。まくった尾崎睦選手が2着、3着に久米詩選手。

レース経過

誘導員 : 石塚孝幸

 スタートで尾崎睦が飛び出して誘導員を追う。道中は尾崎、梅川風子、久米詩、佐藤水菜、坂口楓華、山原さくら、児玉碧衣の並び。 赤板周回に入って、梅川、佐藤がそれぞれ車間を空けて後方を警戒。そこを1センターで児玉が動いて佐藤の前に入ると、山原も動いて、先に切った梅川を押さえて打鐘2センター手前で先頭に立つ。山原に乗った児玉がすかさず先頭を奪うが、佐藤が一気にスパート。佐藤に続いていた坂口は3番手に降り、最終ホームは佐藤、児玉、坂口、尾崎の順で通過。4番手の尾崎が1センター過ぎから仕掛けて2番手の外まで迫るも、後続の動きを見ながら引き付けた佐藤はバック過ぎに再加速。4コーナーを先頭で回った佐藤が、そのまま振り切って2度目のグランプリ制覇。まくりを放った尾崎は児玉との並走に踏み勝つも、佐藤との差は詰まらず2着まで。尾崎のまくりに乗った久米が3着。梅川はまくり届かず4着に終わった。

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