展開の鍵を握る近畿4車の動向
古性優作
今年のビッグレースで最も存在感を示していたのは近畿勢だ。脇本雄太が全日本選抜、高松宮記念杯で優勝し、前半戦で早々と2冠に輝くと、寺崎浩平は近畿連係を結実させたオールスターでタイトルホルダーの仲間入りを果たした。無冠に終わったとは言え、古性優作は高松宮記念杯、オールスターで準V、そしてダービー、寬仁親王牌は決勝3着、ウィナーズカップでVと常に確定板に名を連ねていて、獲得賞金ランキングでトップを驀進中。そしてベテラン南修二は、共同通信社杯でビッグ初Vを手中に収め、オールスターは決勝3着。44歳にして初めてグランプリの切符を手にしている。更にグランプリでは古性が21、24年と2Vを飾っているし、脇本は当所で行われた22年にグランプリを制覇している。直近5年間で近畿勢の3Vは、近畿にとって自信の裏付けとなるデータだし、なによりグランプリ優勝経験がある選手の存在は、大きなアドバンテージと言えるだろう。この近畿の4名が並ぶようなら、強大な近畿ラインができあがる。だが、4番手は優勝にかなり遠い位置と言わざるを得ない。福井勢と大阪勢に分かれて別線勝負も考えられる。近畿勢の動向がレース展開の大きな鍵となりそうだ。また、脇本は左肘関節脱臼骨折のため競輪祭を欠場している。どの程度まで調整が進むのかも優勝のゆくえを左右しそうだ。
眞杉匠、吉田拓矢の関東黄金コンビもビッグレースで躍動した。ダービーの決勝で眞杉のまくりを吉田が差して連独占を果たすと、サマーナイトの決勝は、最終的に主導権を握った太田海の番手を取り切った眞杉がVで、肉薄した吉田が2着でワンツー。息の合った連係プレーを披露した。立ち回りの俊敏さに定評ある眞杉が、好位確保から自力を繰り出せれば、再び両者でゴール前勝負となる可能性も大いにあろう。
郡司浩平
今年のG1優参は、高松宮記念杯(3着)の1回だけに終わった郡司浩平。ビッグレースに関しては、不本意な成績と言わざるを得ないだろうが、G3では圧巻の6Vを達成している。今年の勝ち星は41勝、勝率46%も評価できる数字で、全体的に見れば悪くなかった。グランプリは過去に5回参戦し3着(2回)が最高の成績。豪快な一撃を決めて初Vをゲットし、地元ファンを歓喜させるか。
寬仁親王牌では単騎ながらG1初Vを飾った嘉永泰斗。レースを支配した吉田、恩田淳の関東勢に続き3番手を確保すると、最終2コーナーから自力を出して大輪の花を咲かせた。関東勢を追いかけた嗅覚は見事だったし、切れ味鋭いスピードを効かした主武器のまくりが、大舞台で主役を演じる原動力となった。混戦は一発怖い。
オールスター、寬仁親王牌と続けて新たなタイトルホルダーが誕生したが、競輪祭でも阿部拓真が初のG1ウィナーに輝いた。同期生の吉田に前を任せたのが功を奏した形となったが、吉田のまくりは不発ながらも、直線で抜け出した差し脚は光っていた。競輪祭の決勝と同様に、無欲で臨み波乱を呼ぶか。