矢口大樹が混戦に断 ~伊東ミッドナイト~

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矢口大樹
しっかり勝って上昇機運に乗りたい
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仁藤秀
地元で巡ってきたチャンスは逃さない
チャレンジでは地元仁藤秀が特班目指す

 3月12日からは伊東ミッドナイトが開幕。S級終盤の走りを考えれば降級後の成績には物足りなさを感じる矢口大樹だが、A級上位の機動型であることには違いないし、当所は1月開催でも連勝で決勝に勝ち上がっている。ここも先行主体に優勝争いをリードする。中曽直彦、亀谷隆一が矢口を援護。ともに差し脚は好調で、同県の好目標がある中曽にとってはチャンスのあるシリーズだ。2月小田原212着での気合の入ったレースは光っていた。
 売り出し中の寺沼伊織が勝ち上がってこない限り、自力タイプは不在の関東勢ではあるが小林令、大矢将大と争覇級の実力者はそろっている。小林は2回の失格でA級に落ちただけで、S級でも勝負できていた選手。ここは総力戦で優勝を狙ってくるが、7車立てのレースだし、変に位置のこだわるより、まくりを含めたタテ脚で勝負してくるのでは。大矢は勝ち味に遅いものの、高い3連対率が示すようにレースは堅実だ。
 機動力で矢口と勝負になりそうなのは磯島康祐だ。Vを重ねていた昨年秋ごろの勢いはないが、短走路を得意としているイメージはある。先行でもまくりでもタイミングを逃さず仕掛けていければ逆転があってもいい。

 降級後は2月大宮での完全優勝が目立つ程度の戦績の矢口だが、その大宮は“駆けた方がやりやすい”と逃げ切り3連発。以前無敵を誇った頃の脚は全く落ちていないことを実感させた。1年半でA級に逆戻りとなったのは「19年の10月にヘルニアになって、そこからズルズルと来ちゃってた」ためだが、「負荷をかけた練習ができなかったけど、腰も良くなってきて、だんだん負荷をかけた練習ができるようになってきた」と前期のS級から光明は見えていた。前回の3月取手にしても強風に泣かされながらも準決は、ホーム6番手から仕掛けて、中団先まくりの森田康をねじ伏せて快勝。これで準決は今期4勝目と悲観する材料は全くない。同じ機動型のライバルが手薄な今シリーズはチャンスだし、きっちり結果を出して波に乗る。

 チャレンジ戦では、目下2場所連続優勝中の仁藤秀が特班を目指す。在所時代の能力評価でAを獲得している117期きってのダッシュ力を誇るスプリンター。当初は“余裕がない”と結果を出すのに一杯一杯で、「現状はやっぱりムラがありますね。上手くレースを運べれば1着を取れるけど、構えて見てしまうことが多い。行かなきゃいけないところで行けていない。色んな経験を積んでいけば、体が勝手に反応するようになると思ってます」と話していたが、今年に入ってからは18戦して14勝、2着3回、3着1回で一度も確定板を外していない。直近の2月立川決勝などは単騎戦で、特班リーチの中村隆、鈴木玄-岡田亮の地元勢らこれ以上ない強敵が相手だったが、意表を突く先行策で堂々押し切ってしまったのだから非の打ち所がない。
 まくりに最も威力があり、最終的な目標はオールラウンダーとするものの、勝ち星の大半が逃げと逞しさを格段に身に着た今なら、内容にもこだわった走りで結果も出す。

権田浩一記者

2021年3月11日 23時21分

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