寬仁親王牌Vの新田祐大がグランドスラム ~前橋競輪場~

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新田祐大
寬仁親王牌の初優勝で全冠制覇
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最内を踏んだ⑨新田祐大が大外の③守澤太志とのG前勝負を制す
全冠制覇は登録日から17年5か月で偉業達成

 10月23日、「第31回寬仁親王牌」の決勝戦が行われ、最終3コーナー付近から最内を踏み込んだ新田祐大が優勝。新田はすべてのGⅠ優勝という偉業を達成して、グランドスラマーの仲間入りを果たした。グランドスラム達成は井上茂徳、滝澤正光、神山雄一郎に続く4人目の記録。6つのGⅠ制覇での達成は神山に続き2人目の記録となった。

 道中は内に詰まる苦しい展開だった新田。「イチかバチか、何も考えずに踏んだ」と、最後は最内のVロードを思いっきり踏み込んだ。ゴール直後は優勝した確信がもてずに「守澤君のスピードが良かったので差された気持ちでグランドスラムは簡単ではないと感じていました」と語る。

 さらに、最終3コーナーと、4コーナーでは審議の対象となり「(周囲に)1着だと言われていたが、審議が挙がって、昨年の(失格した)イメージを払拭できずに、また来年かあ、今年も難しいなあと感じた」と、決定放送を聞くまでは安心できない状況が続いた。決まってからは「どちらかというと、第3者目線でものごとを考えていて観客的な感じでゾワっとした」と心境を語った。
 
 昨日の決勝戦インタビューでは「(肩鎖関節脱臼から)全然戻っていないです。(佐藤)慎太郎さんの"限界は気のせい"じゃないけど、自分の体の状況は気のせいではない。でもネガティブでいるよりも、苦しいことを乗り越えた先に光が、新しい世界に希望を見出して、しっかりと走りたい」と語っていたのが印象的だった。満身創痍の中でつかんだ優勝、そしてグランドスラムの偉業達成だった。

 開催中には北日本の仲間たちのサポートがあった。「一戦一戦、1日のベストを出せるようにコンディションをつくって挑んできた。若手だと、新山、小原がいて、同級生では守澤、永澤、和田に気を使ってもらって、先輩にもいいコンディションをつくってもらっていたので、試合に集中して挑むことができた。自分だけで成し遂げた部分ではないですね。あまり思い出を語る方ではないけど、ここで初めて(GⅠの)決勝に乗って、山崎さんが優勝した思い出の地。そこでの優勝は感慨深いものになった」と、記憶と記録に残る優勝になったことに違いない。

 GⅠ制覇で今後は、年末の大舞台を見据える。「グランプリは想像していなくて12月が(肩鎖関節脱臼をした部分の)手術の予定だったので、それを早めるか、どうかで今後が変わってくる。いいことが起きたので、いい意味でスケジュールを調整したい」と、ここからの残り2か月はグランプリが行われる平塚に照準を合わせていく。

 「グランドスラムといったらすごいことだとわかると思うので、僕を使って競輪を広めてもらえたらうれしい」と、この偉業を競輪の周知のために役立ててほしいと締めた。

小山裕哉記者

2022年10月23日 18時22分

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