今年の舞台は平塚
今年も競輪界最高峰のレースに相応しい豪華メンバーとなった。そんな中で圧倒的な存在感を示しているのは新田祐大だ。今年後半の新田は、ブノワ・ベトゥ(ナショナルチーム・短距離ヘッドコーチ)の指導による練習の成果が本業の競輪にも顕著に現れ始めた。高松宮記念杯で優勝すると、その後はサマーナイト優勝、オールスター準V、共同杯決勝3着、親王牌準V、そして競輪祭優勝。ビッグレースの決勝で6大会連続で確定板入りを果たしていて、異次元のスピードで他の自力型を沈黙させている。現在の充実ぶりならグランプリ初優勝を飾り、「新田時代」の到来をファンに知らしめる可能性は大いにある。同県で同じナショナルチームのメンバーでもある渡邉一成は、新田にとって最大の味方であり、最大のライバルとなるだろう。今年の渡邉はオールスター、親王牌と2冠を達成しているが、いずれも新田のまくりを差し切っての優勝だった。渡邉自身の仕上がりと新田の仕掛け次第では逆転もありうる。
平原康多は全日本選抜で優勝し、今年は早々とグランプリの出場権を獲得している。グレードレースで格の高い競走しか走らない中で、今年の3連対率は74%のハイアベレージ。競輪界を代表するオールラウンダーと称されるのは当然だろう。レースの組み立ては秀逸なので、新田を後方に追いやっての先まくりに持ち込んでのVゲットは考えておきたい。平原との連係実績は豊富な盟友の武田豊樹は、オールスターの落車後遺症が尾を引いている感じだ。好展開が巡ってきていながら、勝ち星に結び付けられない競走も散見する。グランプリまでにどこまで調子を戻せるかが鍵となろう。
深谷知広、浅井康太の中部コンビも忘れてはならない。今年の深谷は好調時のようなスピードの切れが甦り、3年ぶりのグランプリ出場を決めた。浅井は今年のメンバーでは最多の7年連続出場のグランプリ常連で、グランプリ優勝の経験もある。深谷が好発進を決めると浅井が首位に躍り出る場面も。
初出場は三谷竜生、諸橋愛、桑原大志の3名で、いずれも個性豊かな選手だ。三谷はダービーを制してタイトルホルダーの仲間入りを果たしており、攻撃的な自力勝負が売り。最後まで諦めない競走スタイルが災いし落車が続いた時期もあったが、徐々に調子を上げてきている。どんなパフォーマンスで魅せるか注目したい。諸橋は共同杯をはじめ弥彦記念、松戸記念とグレードレースで3V。充実の1年を関東ライン連係で締めるか。桑原はダービー準Vなど、堅実な走りで賞金を積み上げ、最後のイスに滑り込んだ。集大成のいぶし銀の走りを披露する。