これぞ競輪!成田和也が競りで魅せた ~武雄競輪場~

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成田和也
超一流の捌きでファンを沸かせた
成田和也VS小倉竜二の番手競り

 武雄競輪開設75周年記念『大楠賞争奪戦』G3は、4月11日(金)に2日目が行われた。二次予選11レースは、新山響平が急性胃腸炎で当日欠場。目標不在となった成田和也(福島・88期)がとった策は、小倉竜二との競りだった。

 新山がまさかの当日欠場で、レースは、石原颯と、畑段嵐士の二分戦、ほぼ、石原の先行一車の構成となった。選手紹介は、成田の動向に注目が集まった。成田が主張した位置は、石原の番手。小倉竜二の外で、併走することを選択した。近畿勢が前を取って、石原は周回中に4番手。小倉が「勝負は一発で決まると思った」と振り返ったように、石原が打鐘で仕掛けた一歩目で、勝負は決した。成田が小倉を内に押し込んだ勢いで、小倉の前輪が、前の古賀勝大の後輪に差し込んでしまう。これで小倉は石原を追えず、成田が番手を取り切った。成田は、飛び付きを狙った畑段を一発で決めて、石原に続いて2着。熟練のテクニックが、凝縮された一戦だった。成田は、いつも通り冷静な表情でレースを振り返った。

 「新山がいなくなったけど、恥ずかしいレースにはならないようにと思って頑張りました。僕は、小倉さんの分厚い胸をお借りしただけ。宿口(潤平)君が付いてくれてたんで、2人で勝ち上がれて良かった」

 淡々と、されどアツく語った成田は、まさに勝負師の顔だった。敗れた小倉は、こう話す。

 「焦ったね。石原が駆ける瞬間に前にいないといけないから、焦って早く上がってしまって、突っかかった。うまく押し込まれたね。競りができる選手は、あそこで押し込んでくる。(石原との車券が)売れとったんで、申し訳ない」

 新山の欠場は残念だったが、その代わりに、超一流のマーカー同士の競りが見られた。お互いにリスペクトを込めて競った両者の一戦は、まさしく名勝負だった。

熊谷洋祐記者

2025年4月11日 18時40分

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